日本菌学会会長挨拶

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更新日 2017-11-01 | 作成日 2007-09-15

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日本菌学会会長挨拶

日本菌学会会長(2015年度〜2017年度) 山岡裕一

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会長挨拶

 2015年4月から、日本菌学会会長を務めさせていただくことになりました。伝統ある学会の会長として、これまでこの学会の発展に貢献されてきた先生方、会員の皆様に心から感謝するとともに、この学会がさらに発展するよう努めて参りたいと思います。
 「菌類」と聞くと、一般的には、原核生物の細菌類(バクテリア)の仲間である大腸菌、乳酸菌、納豆菌などの名前を思い浮かべる方が多く、菌類は真核生物で、一般的にカビ、キノコ、酵母と呼ばれている生物であると認識されている方はまだまだ少ないように思います。近年、生物学分野の研究の発展はめざましく、そのおかげでこれまで菌類の仲間と認識していたグループが、実は異なる系統群で有ることが分かってきました。植物の病原菌として有名なべと病菌や疫病菌などの卵菌類や変形菌類は、生物5界説では菌界のメンバーとされていましたが、近年の分類体系では菌界から外され、偽菌類と呼ばれています。しかし、これら偽菌類の研究者もこの学会で活発に活動されており、広義の菌類を扱う多様な研究者が集まっています。
 日本菌学会は、菌学の発展と普及を推進することを目的としており、菌類に関する基礎研究から応用まで、生物学、植物病理学、微生物学、農芸化学、発酵工学、応用きのこ学、林学、医学、薬学、食品衛生学、環境科学など、様々な分野に関わる会員が参加し、活発に活動されています。対象となる菌類も研究分野によって様々です。食用キノコ、発酵産業に利用する酵母やカビ、薬を生産するカビ等、我々の生活に役立つ菌類もいれば、植物や動物など他の生物と相利共生し、お互いの生存に不可欠な関係を結んでいる菌類もいます。植物や人間を含む動物の病気を起こす病原菌、毒素を生産するカビやキノコ、食品の腐敗、木材の腐朽、紙、布、皮製品の汚染を引き起こすカビやキノコなど、我々に何らかの被害を及ぼす菌類も存在します。また、直接我々の生活に関係なさそうだけれども、自然界の様々な場所で暮らしている菌類、その中にはどうやって暮らしている?何か特殊な機能を持っているのか?我々にとって敵なのか味方なのか?そもそもいったい何者なのかさえ分かっていない菌類もまだまだたくさん存在しています。近年のDNA検出技術の向上により、これらの情報が段々明らかになってきました。
 最近は、その成果がすぐに役立つ研究が脚光を浴び、注目される傾向がありますが、必ずしもそれだけが必要な研究ではありません。すぐに役立たなくても、未知なものを解明していくこと、何者かを知るために様々な基礎情報を集めることも、大変重要な研究になります。このような基礎研究なしに応用研究は成り立ちません。一方、基礎研究を行いながらもそれが将来どのように使われるかを考えたり、あるいは応用分野の研究者とのネットワークを利用して情報を共有し、共同研究に発展させることも必要だと思います。この学会には、“菌類”をキーワードとして、様々な専門分野の研究者が集まっています。日本菌学会が、それぞれの専門知識を交換する場を提供し、他ではできない新しいネットワークを構築する機会となり、これまでに無い科学技術のイノベーションにつながればと期待しております。
 この学会の特徴の一つは、アマチュアの会員が多いことだと思います。ここでいうアマチュアとは、菌類に関する研究を仕事としては行っていない方という意味であり、それぞれ専門とされている菌類に関する知識や情報、研究に対する熱意や真剣さは、専門家の方々に負けていません。仕事として扱っていると、時には好きでなくてもやらなければならないことも有り、また自分の純粋な好奇心をあえて殺して、成果を求めなければならないこともあります。それに対し、アマチュアの方は、本当にそれが好きで情熱を持って取り組んでおられると思います。それがこの学会の重要なパワーの一つになっていると思います。
 高校までの生物の教科書の中では、菌類についての記述はごく僅かです。生物学を学ぶ上で、確かに、まず高等植物、動物、特に人間の生物学に関する知識を勉強することは重要です。しかし、教科書に書いてあることは生物学のごく一部の情報で、もっともっとおもしろい世界がある、未解明の世界があることを若い方達にも知っていただき、菌類の世界に興味を持っていただきたいと思います。そのような機会、企画を提供し、菌学の発展と普及を推進していきたいと思います。そのためには会員の皆様のご協力は不可欠で、今後益々活発にご活躍いただくとともに、学会に対する変わらぬご支援をお願いいたします。また、このホームページを訪問され、興味を持たれた皆さまには、是非日本菌学会に、あるいは学会が実施する行事にご参加下さい。お待ちしております。



日本菌学会会長 山岡裕一

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