第37回 菌学シンポジウム報告

日時: 2023年3月18日(土) 13:20-15:30
場所: Zoomによるオンライン開催
参加人数: 52名

 2023年3月18日(土)Zoomによるオンライン形式で、第37回シンポジウム『きのこをめぐる食・毒・まなび・観光』を開催しました。

 今回はきのこと人間に関わる研究・活動に携わっている2名の演者をお招きして、きのこの食・毒と将来の資源化にむけての課題や、一般のお客さん対象の自然観察会の様子など、様々なエピソードを交えて話題提供をいただきました。演者および講演内容の概要は以下の通りです。

1.青木 渉(信州大学大学院:現在は国立医薬品食品衛生研究所)
「カキシメジ類を含めた日本産キシメジ属の利用可能性」
カキシメジが日本でも有数の中毒例の多い毒きのこきのこであることは周知の事実ですが、実は複数の形態的に類似する分類群を含んでおり、その毒成分(ウスタル酸)の含有の有無もマチマチであることが、青木氏の博士研究で明らかになりました。古来からマツシメジと呼ばれてきた種は実際にカキシメジとは別種であり、ウスタル酸も含有しないこと、など、最新の分類学の知見と、人文学的な知見を融合した研究は、非常に見ごたえのあるものでした。今後のキシメジ属の資源利用に希望が感じられる発表であったと思います。

2.沢田 明宏(住友林業 富士山「まなびの森」 フォレストアーク・副館長)
「富士山『まなびの森』~富士山 標高1,100mに広がる豊かな自然とキノコの世界~」
これまで富士山のふもとの「まなびの森」で実施されてきた自然観察会の様子を中心に、地域の自然の豊かさや、参加者のアクティビティについて幅広く紹介していただきました。博物館やきのこ同好会によるきのこ観察会とは異なり、このように一般のお客さんを対象にした観察会は、観光など地域振興の側面もあり、ぜひ富士山から全国にこのような試みが広がるよう期待しています。

 今回の大会では、会員からのスライドショー計6題のプレゼンがあり、活発に質疑応答がされました。通常の講演(約15分の一般講演)という枠組みではなく、より短く、しかし自由なフォーマットのスライドショーを設けることで、より自由な議論がされたように思います。日本菌学会関東支部の会の雰囲気にもよく合致しているため、ぜひ次回以降のシンポジウムでもスライドショーの枠を設けたいと思います。また、今回は時間の都合上実施しなかった一般講演の部ですが、主催者側としては、データをとりたての大学院生などの最初の発表の場として、ぜひ本シンポジウムを活用してもらいたいと思っています。次回のシンポジウムでは一般講演の部を設ける予定ですので、ぜひみなさま積極的にご参加ください。

 貴重な講演をしていただいた演者のみなさま、学会に参加していただいたみなさま、そして準備・運営全般にご尽力いただいたスタッフ一同に深く感謝申し上げます。

シンポジウム担当幹事 保坂健太郎