第28回 ワークショップ報告 Penicilliumおよび関連種の分類とその動向

日時: 2014年6月26日(木)~6月28日(土)
場所: 筑波大学菅平高原実験センター(長野県)
講師: 矢口 貴志 先生 (千葉大学真菌医学研究センター)

 本年度の菌学ワークショップは、千葉大学の矢口貴志先生を講師にお迎えし、6月26日から28日に筑波大学菅平高原実験センターにおいて開催されました。2年前のAspergillus属のワークショップの続編という形で、分類学的動向、種同定のポイントに関して分かり易く教えて頂きました。矢口先生の気さくな人柄と参加者の知的欲求の相乗効果で活気のあるワークショップになったと思います。

 初日は、先生が取り組んでこられたPeniciilium属をアナモルフにもつ耐熱性カビの分類学的研究の紹介やPenicillium属及び関連菌の近年の分類学的動向を分かり易く解説して頂きました。2日目は、Penicillium属の形態学的特徴と顕微鏡観察のポイントを丁寧に説明して頂いた後、用意された25種のコロニー形態の観察と顕微鏡観察を行いました。3日目は、引き続き形態観察を行いました。

 一般的に種同定の難しい菌の一つといわれるPenicillium属ですが、参加者の多くは参加前と比べ種同定をする意欲が増したのではないかと思います。顕微鏡観察を通し、Penicillium属の分類で塩基配列情報が不可欠になっていることを再認識した方も多かったかもしれません。塩基配列情報に基づくPenicillium属の系統分類の枠組みはこの数年で決定された気がします。これにより、Penicillium属の種同定や新種記載は以前より数段やり易くなったのではないかと感じております。今後日本から多くの興味深い新種が記載されることを期待しております。

 来年は未知の系統群の宝庫ともいえる接合菌に関するワークショップを企画したいと考えております。多くの方々の参加を期待しております。

担当幹事 広瀬 大

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