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一般社団法人 日本菌学会 - The Mycological Society of Japan

会長挨拶

日本菌学会会長
山岡 裕一

日本菌学会のホームページへようこそ!日本菌学会は,菌学の発展及び普及の推進に関する様々な事業を行い,社会の発展に寄与することを目的として,活動をしています.日本菌学会は昭和31年2月20日に設立され60年以上にわたり活動を続けてきました.そして2016年12月に一般社団法人日本菌学会を設立し,2017年4月からは法人としての活動を本格的に開始いたしました.年次大会,菌類観察会,菌類講座などの集会の開催,国際誌のMycoscienceと和文誌の日本菌学会会報の刊行,ニュースレターの発行などの活動を通して,菌学に関する研究成果の発表,研究交流,学習の機会を提供し,菌学の発展や普及を促進しています.また,さらに菌学研究が発展するように優れた研究業績の表彰や研究の奨励を行っています.

“菌類”と聞くと,一般的には,原核生物の細菌類(バクテリア)の仲間である大腸菌,乳酸菌,納豆菌などの名前を思い浮かべる方が多く,実は菌類は真核生物で,一般的にカビ,キノコ,酵母と呼ばれている生物であると認識されている方はまだ少ないように思います.また,黴菌(バイキン),病原菌などの言葉に代表されるように,菌類は悪者,汚いものといったイメージが強いように思います.しかし実際は,人間の生活に悪影響を及ぼしている菌類はごく僅かで,直接的にも間接的にも人類にとって役に立っている菌類も多数存在します.例えば,食用キノコ,発酵産業に利用されている酵母やカビ,薬を生産するカビなど,すでに我々の生活に欠かすことができない菌類も存在しますし,植物や動物など他の生物と相利共生してお互いの生存に不可欠な関係を結んでいる菌類や,難分解物を含む様々な物質を分解する能力を持った菌類など,生態系の中で物質の循環や多様性の維持に不可欠な存在です.一方で,植物や人間を含む動物の病気を起こす病原菌,毒素を生産するカビやキノコ,食品の腐敗,木材の腐朽,紙,布,皮製品の汚染を引き起こすカビやキノコなど,我々に何らかの被害を及ぼす菌類も存在します.それに加え,また,直接我々の生活に関係なさそうだけれども,自然界の様々な場所で暮らしている菌類,その中にはどうやって暮らしているのか?何か特殊な機能を持っているのか?我々にとって敵なのか味方なのか?そもそもいったい何者なのかさえ分かっていない菌類もまだまだたくさん存在しています.

菌類を含めてすべての生物は,人間のためにだけ生きているわけではなく,自らの生存のためにそれぞれが特殊な能力を身につけて生きています.その特殊な能力を見つけ出し,持続的にかつ安全に活用したり,効果的な防除法を開発するためには,まず菌類の系統,分類,生態,生理などの生物学的な基礎情報を収集,解析することが不可欠です.菌学会には,担子菌類,子嚢菌類,従来の接合菌類やツボカビ類を始め,偽菌類(卵菌類や変形菌類)など,様々な菌類に関する基礎研究を専門としている研究者が多数参加されています.また,それらの基礎情報を活用している植物病理学,応用微生物学,農芸化学,発酵工学,応用きのこ学,林学,医学,薬学,食品衛生学,環境科学など,様々な応用研究分野に関わる研究者も加わり,それぞれ活発に活動されています.菌学会は,このように“菌類”をキーワードとして,基礎研究から応用研究まで,様々な専門分野の研究者が集まっており,それぞれの専門知識や情報の交換の場や,新しいネットワークを構築する機会を提供しております.

この学会のもう一つの大きな特徴は,アマチュアの会員が多いことだと思います.ここでいうアマチュアとは,菌類に関する研究を仕事としては行っていない方という意味であって,それぞれ専門とされている菌類に関する知識や情報,研究に対する熱意や真剣さは,専門家の方々に負けていません.仕事として扱っていると,時には好きでなくてもやらなければならないことも有り,また自分の純粋な好奇心をあえて殺して,成果を求めなければならないこともあります.それに対し,アマチュアの方は,本当にそれが好きで情熱を持って取り組んでおられると思います.それがこの学会の重要なパワーの一つになっていると思います.

高校までの生物の教科書の中では,菌類についての記述はごく僅かです.生物学を学ぶ上で,確かに,まず高等植物,動物,特に人間の生物学に関する知識を勉強することは重要です.しかし,教科書に書いてあることは生物学のごく一部の情報で,もっともっとおもしろい世界がある,未解明の世界があることを若い方達にも知っていただき,菌類の世界に興味を持っていただきたいと思います.今後もそのような機会,企画を提供し,菌学の発展と普及を推進していきたいと思います.そのためには会員の皆様のご協力は不可欠で,今後益々活発にご活躍いただくとともに,学会に対する変わらぬご支援をお願いいたします.また,このホームページをご覧になり,興味を持たれた皆さまには,是非日本菌学会に,あるいは学会が実施する行事にご参加下さい.お待ちしております.

2018年1月