日本菌学会会長挨拶

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更新日 2017-09-01 | 作成日 2007-09-15

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日本菌学会創立60周年を迎えて

日本菌学会会長(2015年度〜2016年度) 山岡裕一


 日本菌学会は、今年で創立60周年を迎えます。戦後発足した菌類談話会を前身とし、昭和31年2月20日草野俊助先生を初代会長として上野の国立博物館で発足いたしました。菌類談話会のこと、日本菌学会誕生の経緯や創立初期の活動の様子については、印東弘玄先生(1991)が日本菌学会ニュース1990-2に創立35周年を記念して特別寄稿された記事の中で詳しく述べられています。また、そのニュースレターの中で、宇田川俊一先生、鈴木彰先生により、日本菌学会35周年の歩みとして、運営の歴史に関する資料がとりまとめられています。これらの資料を基礎とし、2006年には日本菌学会会報47巻の創立50周年記念号と日本菌学史を発行し、その中で、菌学会の活動の歴史、菌学の発展に貢献された先生方の紹介、先生方やこれまでの活動にまつわる思い出など、日本の菌学の歴史を知るために重要な資料や記事がたくさん掲載されています。是非一度ご覧下さい。

 昭和31年(1956年)に発行された日本菌学会会報第1号の冒頭には、日本菌学会設立の趣意書が掲載されています。その趣意書では、「この学会の目指す理想は高い。しかし、狭く不安定な基礎の上には高い理想の塔は建設されない。日本の菌学は多くの人の理解と協力とを基盤としてうち建てられなければならない。とくに長い間下積にされた日本の菌学の飛躍的な進歩は、専門家とアマチュアとを問わず、同好同学の士相互の緊密な提携、連絡とを欠くべからざる条件とするからである。明治初年、近代菌学が日本に始まってすでに70年余、今日ようやく日本菌学会が創設されるに当り、全国の同好同学諸賢の力強い協力を心から期待する所以である。」と結ばれております。日本の菌学の発展のためには、専門家、アマチュアを問わず、菌類に関心を持ち、菌学を学ぶ者相互の緊密な提携、連絡が重要であるという基本的な精神は今も受け継がれております。この60年の間、諸先輩方の活発な継続的活動より、日本菌学会は高い水準の研究成果を提供し続け、菌学の発展、普及に大きく貢献してきたと思います。
 日本菌学会の活動は当初から国際的に高く評価されていましたが、この60年の間にいくつもの国際学会、シンポジウム、ワークショップの開催や協賛を行うなど、国際的な交流を促進してきました。また、日本菌学会会報から英文誌のMycoscienceを独立させ、さらにはImpact factorを取得して国際誌として高い評価を得るまでに発展し、現在は、特にアジアから世界に向けての重要な情報発信源となっています。

 60周年を迎えるに当たり、その記念事業については、前期から60周年特別委員会で検討を重ねてきました。その検討結果を受けて、次のような企画をすすめております。

1.創立60周年記念大会(近畿大会)の開催:
 2016 年9 月16 日(金)〜18 日(日)、京都大学農学部本館・理学部セミナーハウスにおいて、田中千尋大会会長のもと、日本菌学会創立60周年記念大会として開催予定です。その中で、特別企画として、海外からの講演者を中心とした菌類の生態と多様性に関する国際シンポジウムと、国内からの招待講演者による記念学術シンポジウム「菌学60 年の進歩」を開催する予定です。

2.創立60周年記念出版物「菌類の知られざる世界(仮)」の発行:
 菌類は”汚いバイキン”と誤解されがちですが、「美しい」「たくましい」「多様・多才」「意外性・驚き」といった菌類の魅力を一般の方々に伝えることを目的として、菌類の姿を様々な切り口から写真中心で紹介する出版物(本)を企画しています。すでに、会員の皆様から写真・原稿のご提供をいただき、細矢企画・普及担当理事が中心になり、着々と準備を進めております。60周年を記念して、多くの学会員の協力により、多様な菌類のありさまを紹介できるように考えています。引き続き、学会員の皆様のご協力をお願いします。

 また、すでにお知らせしておりますように、現在学会の法人化に向けて準備を進めております。先に述べましたように、本年度の総会は9月の記念大会の時になりますが、その総会で「一般社団法人 日本菌学会」を設立することが承認されますと、来年度末で現在の日本菌学会は解散になり、61周年に当たる平成28年度からは、法人として正に生まれ変わることになります。法人化に伴って活動内容を大きく変更する必要はなく、本学会がこれまで目指してきた目的に沿って活動を続けていけば良いと考えておりますが、同様の活動をしていても、学会自体の社会的信用性が高まり、社会への影響力も高まると期待しています。
 60周年は、人間で考えると還暦に当たります。生まれた時に還る。初心に返り、次の60年、日本菌学会がさらに発展し、日本の菌学研究が世界をリードし大還暦が迎えられるような体制作りを考え、新たに動き出すための1年にしたいと思います。

 日本菌学会をさらに発展させ、日本の菌学レベルを世界的に評価される高度な水準に保つためには、まずは自分自身が研究成果を挙げられるよう精進することが必要と思いますが、同時に次の世代の育成という課題を忘れてはいけません。これからさらに子どもが少なくなっていく日本の社会で、こんなにおもしろい世界があるのだと言うことを、小中学生、高校生、大学生と様々な世代に紹介していく必要があると思います。子ども達を指導されている教員や保護者の方々に菌類を知っていただくことも、普及活動としては効果的でしょう。若手研究者や、その卵も大切に育てて行きたいです。菌学会は、これまでも精力的に教育・普及活動を行ってきましたが、これからも推進していきたいと思います。今後とも、皆様からの変わらぬご協力、ご支援をよろしくお願いいたします。

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