第39回 菌類観察会報告

日時:2025年10月11日(土)、12日(日)
群馬県桐生市
講演会:桐生自然観察の森 ネイチャーセンター内レクチャールーム
観察・鑑定会:吾妻公園 閑雅亭
参加人数:20名(担当幹事2名、講師1名を含む)

 2025年10月11日(土)および12日(日)、群馬県桐生市にて、日本菌学会関東支部の第39回菌類観察会を開催しました。群馬県での開催は、2011年の四万温泉以来14年ぶり6回目です。

 11日は、桐生市内にある一般財団法人日本きのこ研究所から中澤武先生をお招きして、桐生自然観察の森ネイチャーセンター内レクチャールームにおいて講演会を行いました。演題は「絶滅危惧種キリノミタケの人工栽培について」として、令和7年度日本菌学会会報論文賞を受賞された研究について、中澤先生から貴重なお話を伺うことができました。絶滅危惧種の栽培を始めた経緯など、論文からは読み取れない中澤先生の考えや、菌株の接種から最初の子実体発生までに7年もの歳月を要したことなど、現場でのご苦労や達成感などが伝えられました。講演会の終わりには、実際に人工培養で発生した子実体や分生子の標本を展示いただき、貴重な観察機会をいただきました。

 12日の観察会の開催地は、桐生市内にある市営の吾妻公園です。吾妻山の山裾に位置する園内には、コナラやアカマツ、珍しいフモトミズナラなどの菌根性樹種の広葉樹林が広がります。採集した標本は園内の閑雅亭に集められ、専門家による鑑定が行われました。当日は夏と秋の端境期にあたっていたため、夏に多く見られるテングタケ科やイグチ科、秋に多く見られるフウセンタケ科などの菌根性キノコの発生はあまり良くありませんでした。しかし、数日前に降雨があったこともあり、落葉分解性の腐生菌を中心に、合計147種の菌類が採集されました。採集されたキノコの中には、ユキラッパタケやコノハシメジ、ヤマジノカレバタケといった図鑑への掲載例が少ない種のほか、関東地方では発生例の少ない地下生菌のコイシタケ、コケと共生する極小型のチャワンタケなどの珍しい種も含まれており、これらについて専門家による解説が行われました。

 講演会および観察会での活動の様子は、開催地の地元紙「桐生タイムス」の10月27日付紙面で大きく紹介されました。このような広報を通じて、より多くの方に身近に存在する菌類の多様性や奥深さに興味を持っていただくきっかけとなりましたら幸いです。

 最後に、ご講演いただいた中澤武先生、講演会場としてご協力をいただいた桐生自然観察の森の関係者の皆様、観察会場としてご協力いただいた桐生市および吾妻公園管理事務所の皆様、開催地の選定にご助言をいただいた群馬県林業試験場きのこ係の皆様に厚く御礼申し上げます。ご参加いただいた皆様も、ありがとうございました。


LinkIcon第39回菌類観察会 採集標本リスト