菌学関係の書評

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更新日 2018-03-28 | 作成日 2007-09-15

胞子

「βグルカンの基礎と応用」―感染,抗がん,並びに機能性食品へのβグルカンの関与―

監修:大野尚仁,シーエムシー出版 2010:9:30, B5版283頁 ¥ 68,250,ISBN978-4-7813-0276-8 C3047


  本書は菌学者にはあまりなじみのないβグルカンという化合物を学ぶ上での基礎と応用についていろいろな面から解説しています.βグルカンはすべての生物の細胞壁の構成成分で,菌類から抽出された成分にその研究が始まっています.根田仁著「きのこ博物館」P69「雷丸」の項に言葉が見られます.

  監修者,東京薬科大学免疫学教室大野尚仁教授は第1章のはじめにところに「真菌は100万種を超えると想定されている.さまざまな手法を用いて系統分類が試みられてきた.Baltnicki‐Garciaらは,菌類の系統と細胞壁の多糖構造との相関性について解析した.ツボカビ類,真正子嚢菌類,真正担子菌類はキチン/β1.3‐1.6グルカンから構成され,接合菌類はキチン/キトサン,半子嚢菌類はベータ1.3‐1.6‐グルカン/α‐マンナン,異担子菌類はキチン/βマンナンから構築されているとしている.また広義の真菌とされる卵菌類はセルロース/β1.3‐1.6グルカン,サカゲツボカビ類はセルロ-ス/キチンから構成されていると報告している.」と記しています.このように菌類の研究と大変関係があるβグルカンについて皆様に紹介するために,この本は研究の各分野をリードする著者38名によって書かれています.また,真菌は実に多様な構造の多糖が合成できること,その多糖が人間の機能性食品や薬品として役立つことに多くの注目が集っていることを菌類の研究者に知っていただくために編まれているとの感想を持ちました.


  そこで菌類を研究対象としている学生,大学院生,研究者で機能性食品の開発,自然免疫,病原性真菌に興味を持っている方にぜひ読んでいただきたい書物です.さらに大学の研究室,菌類の機能性食品を開発している会社の研究室に備えていただけると大いに役立のではないかと考えています.


  残念なことは高価なこと,菌類の学名に古いものがあること,折角すばらしい内容なのに索引がないことです.

(評者 布村 公一

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