菌学関係の書評

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更新日 2018-03-28 | 作成日 2007-09-15

胞子

キノコの文庫本・新書本

アルス科学写真叢書 小林義雄・加藤邦三著「きのこ」Ⅰ、Ⅱ.三省堂発行 今関六也著 「原色きのこ」.保育社カラー自然ガイド今関六也・本郷次雄共著「きのこ」.ちくま文庫 渡辺隆次著「キノコの絵本」.森毅編「キノコの不思議」、中央公論新社日野巌「植物怪異伝説新考」上、下.講談社BLUE BACKS 小林義雄著「菌類の世界」.酒井隆太郎著「植物の病気」.中公新書 原田幸雄著「キノコとカビの生物学」.ソフトバンクリエイティブサイエンス・アイ新書 小宮山勝司著「キノコの魅力と不思議」.



  私がまだ中高の教員をしている頃きのこの文庫本を読んでいるといったら、国語の先生からそんな本があるのかとあやぶまれたことがあります。学会の皆様もあまり知らないかもしれませんが、文庫・新書それぞれ何冊かを数えます。文庫の嚆矢としては昭和8年発行のアルス科学写真叢書 小林義雄・加藤邦三著「きのこ」Ⅰ、Ⅱ 次に昭和17年三省堂発行 今関六也著 「原色きのこ」この増補版1959年発行「原色キノコ」、昭和48年発行保育社カラー自然ガイドの1冊 今関六也・本郷次雄共著「きのこ」、1990年発行 ちくま文庫 画家 渡辺隆次著「キノコの絵本」、1996年発行光文社文庫 森毅編「キノコの不思議」、2006年中央公論新社 発行、日野巌「植物怪異伝説新考」上、下 以上、新書は昭和50年発行 講談社BLUE BACKS「菌類の世界」小林義雄著 同じ出版で「植物の病気」酒井隆太郎著 1993年中公新書「キノコとカビの生物学」原田幸雄著、そして今回発行されたソフトバンクリエイティブ株式会社発行 サイエンス・アイ新書「キノコの魅力と不思議」小宮山勝司著である。いずれも著者が研究を進めてから書かれた著書で力作ぞろいといえます。


  この新しい本の著者は菌学会の方々もよくご存知の長野県須坂のペンションのオーナーで写真家、昨年秋に朝日新聞夕刊「人脈記」でも紹介されている。本人も『学者でもなければ研究者でもない、無学なキノコバカ』と『はじめに』で自己紹介している。さらに『むずかしいキノコノことや、わからないキノコのことを調べたい人にはそれなりに別の本で調べていただくことにして、できるだけ専門用語は使わないで、まったくキノコに無関心であった人向けに書こう。』と紹介している。そんなわけで索引から見ると123種のきのこを取り上げているが、過去に著者が書いた図鑑とは異なった書き方をしている。特に14種の中毒体験は実際に食べた状況が書かれていて参考になる。その他の毒きのこに関する記述も多い。またナガエノスギタケが生えている所を撮った写真を相良先生が知るところとなって、同行採集する様子はとても興味を引く。モグラの生きているところの写真などは貴重である。この本を通して一般人や少年がキノコに関心を持ち研究者が出てくることを望むのは私ばかりではないと思う。

(評者 布村 公一

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